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HoloLensやKinectなどのDepthセンサーを中心に書いています。

Apple Vision Proのこれから(個人的な予想)

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の25日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

最終日はApple Vision Proのこれからの個人的な予想について書いてみようと思います。

Appleはどこまでやり続けるのか

最初に、Apple Vision Proが発売されてから噂として出ている、Apple Vision Proの生産停止や撤退などの話について、まずはそれが起こらないということから始めます。

理由は2つあります。

  • AppleはVision Proを「空間コンピューター」と定義した
    • これはMacを「パーソナルコンピューター」、iPhoneを「モバイルコンピューター」と定義している中で、新しいコンピューティングの定義を掲げたことは、その領域をMacやiPhineと同じ状況にする。という意味だと捉えています。
  • Appleは2000年ごろより、発売した製品を生産中止にしたことがほぼない
    • 唯一中止になったものがAirPort(無線ルーター)シリーズで、他は発売開始以降、現在も継続しています。
    • iPod系はiPhoneへの統合が主な要因と個人的には捉えています。

2024年2月下旬、ちょうどApple Vision Proが米国発売した後に、AppleがEVから撤退というニュースがありました。これも公式発表ではないため100%確実ではないですが、合わせて考えると製品をリリースしたということは、その市場を確実に伸ばすというコミットメントにもなると考えています。新しいコンピューティングの定義とともに発表・発売されたApple Vision Proは、Appleとして市場を拡大する領域として定義されたと考えます。

Apple Vision Proはいつ伸び始めるのか

では、いつ広まっていくのか。ということについては、参考としてMac, iPhoneの年毎の販売台数を見てみました。2018年までの公開ですが、最初の数年を見るには良いでしょう。逆にApple Vision Proの実績は見えない可能性もありますが。

数字はAppleの年次報告書(10-Kフォーム)を元にChatGPTにて作成しました。

Macの販売台数

Year 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
販売台数(百万台) 2.8 3.5 3.7 4.5 3.5 3.0 2.9 3.3 4.5 5.3
Year 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
販売台数(百万台) 7.0 9.7 10.4 13.7 16.7 18.1 16.3 18.9 20.6 18.5

iPhoneの販売台数

Year 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
Units (百万台) 1.39 11.63 20.73 39.99 72.29 125.05 150.26 169.22 231.22 211.88

Macだと昔すぎるので、もう一つの比較要素としてApple Watchを出したかったのですが、年次報告書にはWatch単体はなく、AirPodsやHomePodsなどと一緒にウェアラブル、ホームカテゴリとして売上高になっているようです。

Wearables, Home and Accessories カテゴリの売上高

Year 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 (est.)
売上高(10億ドル) 10.1 11.1 12.8 17.4 24.5 30.6 38.4 41.2 39.5 36.0

ここからの傾向として、発売数年は線形に伸び、2年-3年で伸びる角度が変わり、7年-10年でピークを迎えます。

今のApple Vision Proの時間軸と合わせると、下記になると考えます。

  • 販売台数が伸び始める時期 : 2026年-2027年
  • 販売台数がピークになる時期 : 2031年-2034年

2026年ごろからアプリがApple Vision Pro対応するのが普通になってくるのかもしれません。

キラーアプリは何か

いわゆる、XRや空間コンピューターではキラーアプリと呼ばれる普及するための目玉アプリの存在が期待されていました。

Apple Vision Proでのキラーアプリが何かを考えた場合、何か特定のアプリというよりは、2DアプリによるiOS/iPadOS向けアプリの利用、Mac仮想ディスプレイによるmacOSの利用、それに加えてvisionOS専用のアプリの組み合わせによるものと考えます。Google系のアプリやNetflixがないですが、ブラウザ利用でカバーはできます。

普段使いではXやPrime Videoなど普段使ってるアプリなど、iPhoneやiPadで使っているアプリがそのまま使えますし、Apple Vision Proならではの空間アプリも多数あります。

業務系ではMicrosoft Officeは一通り使えますし、TeamsやZoomのようなオンラインミーティングアプリもあります。

実際のところ、普段使いするにあたり、重さとそれによる不快感くらいしか障害はないかなとは思います。まぁ、それが一番の問題という話でもありますが、ハードウェアは時間とともに進化するので、解決可能な問題と考えています。

ヘッドセットかグラスか

Apple Vision Proのようなヘッドセット型のデバイスが今後も発売され続けるのか、または軽量のグラスデバイスが発売されるのか。

期待としてはグラスになると思いますが、Apple Vision Proの高精細なディスプレイを見ると軽量のヘッドセットでの進化。というのもアリだと思ってしまいました。

2系統出るといいですが、そういう路線がいままであったかどうか。こじつけるとiPhoneとiPadの関係のようなイメージでしょうか。

まとめ

以上から、AppleはVision Proを一つのコンピューティング領域にするまで続ける、市場として大きくなるのが向こう3年−5年くらい。というように考えています。

課題は重さと価格で、それ以外の課題はそんなに大きくはないと考えています。

長い目線ですが、iPhoneやApple Watchもいつの間にか身近な存在になっています。ネガティブに考えると、電話の再定義であったiPhoneや腕時計の再定義であったApple Watchでこの立ち上がりなので、再定義ではない(人類がメガネのような補正ではなく、目の前に情報がある状態というのは初めて)Apple Vision Proだとさらに時間がかかる可能性もありますが、どちらにしても立ち上がるまでやるんだろうと思います。

Apple Vision Pro の各種リンク

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の24日目です。

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今日はApple Vision Proに関連するリンクをまとめてみます。

今回のTipsにある項目を含め、販売サイト、ユーザーガイド、開発ガイド、visionOSのリリースノートなど、良いドキュメントがたくさんあるので、読んでみると新しい発見があるでしょう。

リンク一覧

リンク詳細

販売サイト

Apple Vision Proの販売サイトです。

興味を持った方がいたら、まずはここを見てもらいましょう。

そのままオンラインでの購入も可能です。

アクセサリーなどもここから。

www.apple.com

技術仕様

Apple Vision Proの技術的な仕様はこちら。

仕様の細かいところまで掲載されているので、業務利用などでのスペック比較にもどうぞ。

support.apple.com

visionOS リリースノート

Apple Vision Pro用のvisionOSは日々進化しています。

開発者向けのベータアップデートは頻繁に更新されていますので、その追跡に利用します。

developer.apple.com

アプリケーション開発ドキュメント

今回は利用用途での解説になりますが、アプリケーションの開発をしたい方はこちらをどうぞ。

developer.apple.com

手前味噌ですが、SwiftでのApple Vision Pro開発本もありますのでご参考にどうぞ。

ゲスト体験手順の裏技 - 最小手順で他の人にApple Vision Pro を体験してもらう方法

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の20日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

今日は裏技的な感じで書いてみようと思います。

Apple Vision Proを自分以外の人に体験してもらう場合、ゲストモードへの切り替え、視線など初期設定を行うため、メニューに辿り着くまでに数分かかります。

もちろん最高の体験をしてもらうために必要なのですが、そのためにはコンテンツも厳選して、1時間ほどみっちり体験してもらうのが良いです。

一方で、多くの人に体験してもらう場合、自分で作ったアプリを人に体験してもらう場合など、ここまでの準備をする手間が煩雑になるケースもあります。

今日はApple Vision Proの設定を調整して、最速で他の人に体験してもらうための手順を紹介します。

この手順を実施すると、通常状態のApple Vision Proで最初のDigital Crown長押しのみで体験が可能になります。

注意事項

**この設定ではOptic IDやパスコードなどセキュリティに関する項目をすべてOFFにします。

見られたくない情報や、紛失時のリスクなどありますので、自己責任で設定の変更を行なってください。

筆者はこの設定変更によって発生した損害の責任は負いません。**

設定変更項目

  • Optic ID OFF
  • パスコードOFF
  • コントロールを「頭」に変更
  • ポインタコントロールをON

Optic IDおよびパスコードは、こちらの手順の逆を行うことでOFFにできます。

blog.kaorun55.com

コントロールの変更はこちらを参照ください。

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まとめ

Apple Vision Proのファーストインプレッションとしては、高精細なディスプレイとパススルーになりますので、まずは表示が見えればOKです。

操作についても頭でのコントロールとポインタの表示で視覚的にもわかりやすく、初めて体験される方でもすぐに操作が可能になります。

「目の前に白い点が表示されています。頭を動かすとこの点が移動するので、選択したい場所に合わせてタップします。」

と最初に伝えると、大体の操作が可能になります。

タップだけは装着前に説明して練習しておくと、より良いですね。

Apple Vision Proのアクセシビリティを見る - 滞留コントロール

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の19日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

今日からは3回シリーズで「アクセシビリティ」についてまとめます。 初回は概要です。

  • 概要
  • コントロール
  • 滞留コントロール

滞留コントロール

滞留コントロールはタップに相当する選択操作を、注視している時間にする方法です。

例えば手が不自由な方や、両手がふさがっている状態での利用に効果があります。

滞留コントロールを「ON」にすると、選択したい場所にしばらく視線カーソルを当て続けることで選択操作ができます。

これによって上記のように手が利用できない人や環境でもコンピューターの力を利用することができます。

視線コントロールと滞留コントロールで、極端な話として寝たきりでも目が動けば操作が可能になります。

まとめ

簡単な内容ではありますが、ハンディキャップがある環境でも利用できる。というのは強みになると思います。

このようなアクセシビリティが最初から考慮され実装されていることは素晴らしいことです。

Apple Vision Proのアクセシビリティを見る - コントロール

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の18日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

今日からは3回シリーズで「アクセシビリティ」についてまとめます。 今回はコントロールです。

  • 概要
  • コントロール
  • 滞留コントロール

コントロールとは

コントロールはApple Vision Proのカーソルに相当する、選択をするための動作です。

既定では視線になっており、このほかに頭、手首、人差し指の選択が可能です。

Apple Vision Proでは視線での操作を基準に体験が作られていますが、視線操作は慣れないと難しいこと、他のデバイスでの操作体系に慣れている場合などは、コントロールを変更できます。

例えば「コントロール」を「頭」に設定し頭の動きでカーソルの操作が可能になり、「ポインタコントロール」を「ON」にすることでカーソル位置が表示されるので、どこにカーソルがあるのか一目でわかります。操作体系としてはHoloLens 1に近いです。

同じように「コントロール」を「手首」にするとMeta Quest 3のハンドトラッキングの操作に近くなります。

さらに「奥行き光線を表示」を「ON」にすると、手から光線が表示されるので、選択されている場所がよりわかりやすくなります。

まとめ

このような形で使いやすさによって幾つかの操作体系があります。

「コントロール」を「頭」や「手首」、「人差し指」にすると視線の調整が不要になります。

これは別途、体験方法のウラワザ的な回で再度利用します。

Apple Vision Proのアクセシビリティを見る - 概要編

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の17日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

今日からは3回シリーズで「アクセシビリティ」についてまとめます。 初回は概要です。

  • 概要
  • コントロール
  • 滞留コントロール

アクセシビリティ概要

Apple 製品がどれもアクセシビリティ(使いやすさ、便利さ)に力を入れており、Apple Vision Proでもアクセシビリティはリリースの段階からきちんと入っていました。

Apple Vision Proでのアクセシビリティは、AssistiveTouchによって物理ボタンを使用せずApple Vision Pro内のUIで代用できる機能や、カーソルを視線以外にする、選択をタップではなく注視にすることで腕が使えない方でも利用可能にする。といった形です。

今回のシリーズではカーソルを視線以外にする、選択をタップではなく注視にするという設定について記載します。

これらの設定を行うことで、視線を使わないため設定が不要で頭の動きだけで操作が可能、タップを使わないため腕を使わないでの操作が可能。となり、頭だけ動けばApple Vision Proの操作ができるようになります。MacやiPhone, iPadでも「ハードウェアを持って操作する」ということは必要でしたが、Apple Vision Proではかぶった後は頭以外の動きは不要。という状態まで設定できますので、体が不自由な方でいままでコンピュータの恩恵を受けることが難しかった方も利用ができます。

AssistiveTouchによるApple Vision Pro内での物理ボタン操作

ドキュメント

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まとめ

明日はトラッキングモードについて記載します。

Apple Vision Proの設定を見る - Optic IDとパスコード編

Apple Vision Pro Tips Advent Calendar 2024の16日目です。

カレンダーの記事一覧はこちら。

今日からは4回シリーズで「設定」についてまとめます。最後の記事は「Optic IDとパスコード」です。

  • 概要
  • 目と手のキャリブレーション
  • ペルソナ
  • Optic IDとパスコード → 本記事はここ

Optic ID

Optic IDは「虹彩認証」と呼ばれ、目の虹彩を使って本人の認証を行います。 Apple製品では指を使うTouch ID、顔を使うFace IDがあり、それらの認証方法に追加された形になります。 Optic IDを利用することで、装着した時や購入時に目が開いた状態であれば認証されるようになり、非常に楽です。

ここではOptic IDの設定について見てみます。

ドキュメント

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Optic IDの設定

Optic IDは前提としてパスコードを設定します。何らかの理由で虹彩を認識できなかった場合にはパスコードで認証を行います。

Optic IDの登録は設定で該当メニューを開き追加すると瞬時に完了します。

設定画面ではOptic IDを使う認証のON/OFFを設定します。

設定画面下部ではパスコードのON/OFFの設定もできます。

後日、パスコードをOFFにする使い方も紹介します(当然セキュリティ度合いも下がるので、登録するApple IDやデータはリスクの少ないものにします)。

設定項目に「Optic IDを利用するiPhone」という項目があります。

これは、Apple Vision Proを起動、再起動の際、本来であればOptic IDではなくパスコードを入力しますが、近くにApple Vision Proと同じApple IDを設定したiPhoneがあれば、最初からOptic IDを利用してロックの解除ができる。というものです。

(個人的には、Optic IDが設定されている場合にApple Watch装着時のようにiPhoneのFace IDをスキップできると、Apple Vision Proを装着時のiPhoneの使い勝手が上がると思うんですけどね。)

まとめ

設定ではApple Vision Pro特有の項目がいくつかあります。

いろいろ試してみてください。

明日からは「アクセシビリティ」について記載します。