1月13日に行われたイノベーション・スプリント。
年末からとても楽しみにしていたのですが、諸般の事情により参加できず。
残念でしたが、素敵なまとめ記事がたくさんエントリされていたので、それを読んでみて思ったことを書いておこうと思います。
- Innovation Sprint 2011 野中郁次郎先生の基調講演メモ - たまゆら雑記
- スクラムの生みの親が語る、スクラムとはなにか? たえず不安定で、自己組織化し、全員が多能工である ~ Innovation Sprint 2011(前編) - Publickey
- 重要なテクノロジーは10名以下のチームで作られた ~ Innovation Sprint 2011(後編) - Publickey
野中先生の講演
イノベーションは、新しい価値の提供
一番印象に残ったのは、
「イノベーションは、新しい価値の提供」
よりよいスペック、新しいハードウェアではなく、新しいユーザー体験なんだろう。
iPadを例に出しているが、例えば日本でのAndroid端末とiPadの宣伝を比較したときに、Androidは「OSのバージョンが最新ですよ!」とか「CPUがこれだけ速いですよ!」といったハードウェアやソフトウェアに対するアピールポイントになっている。それに対してiPadは「iPadを使うと写真を大きく見られます」とか「メールも簡単に送れます」といったiPadを手にすることがユーザーにとってどれだけの価値があるのか、をしてしているように思える*1。
SECIモデル
次はSECIモデル。
多分、いろいろな方とお話ししていて、言葉自体は聞いたことがあるかもしれないが、実のところの意味は分かっていない。
SECIモデルは下記4つで、これを高速でまわすことが「創造性と効率性をダイナミックに創出させる」んだそうだ。
共同化(Socialization) = 気付きが起こる
表出化(Externalization) = 言語化していく
連結化(Combination) = スペックに落とす、分析する
内面化(Internalization) = 実践を通じて言葉を形に
前後して、連続的vs重複的というスライドがあり、それぞれの分野がサイロになる連続的アプローチと、それぞれの分野がオーバーラップする重複的アプローチという対比がある。
日本の多重構造がまさに連続的アプローチに見えていて、確かにそれではアジャイルなプロセスは難しいと思った。
リーダー論
野中先生の考えるリーダーとは
- 「よい」目的を作る能力
- 場をタイムリーに作る能力
- ありのままの現実を直観する能力
- 直観の本質を概念に変換する能力
- 概念を実現する能力
- 実践知を組織化する能力
これらを持った人。
確かに僕が尊敬する方達は、これらの能力を持っているなーと考えながらうなずいてた。
現実歪曲空間
これは僕、最近得意ですw
できないんじゃないかと思っていることをできると錯覚させる能力
- やらないで後悔するよりも、やって後悔する。
- 新しいことも、できると思ってやってみると、意外とできるもの
これが最近の自分の行動原理。
まぁできなくて迷惑をかけてしまうことも多々ありますが、、、
ジェフ・サザーランドさんの講演
Scrumの起源
Scrumの役割が3つしかないのは、「特定の肩書きはサイロ化につながり、スローダウンと生産性の低下につながる」からだそうだ。
その中で「スクラムマスターは、何をすべきかを指示するのではなく、ファシリテートする。サッカーのキャプテンと同じようにチームの中で一緒にプレイする。」
僕のイメージでは、従来の日本型管理者は先頭にたってチームを引っ張る。スクラムマスターはチームの前進を後ろから手助けをする。ただし、チームに対する障害は全力で取り除く。
マネジメントの教育
マネジメントを教育するにはリーン(Lean)開発手法がよい。
関連して
平鍋さんのツイートでScrumの元になった組織パターン(Organizational Pattern)と(おそらく)Scrumの原文の訳も読んでみた。
組織パターンは、(僕は参加してませんが)12月のCSM研修などで話が出ていたようで参加した方からお話を聞いた。
Scrumはこの組織パターンに当てはめてフレームワークを作成した、ということがよくわかった。
例えばScrumにおけるスクラムマスータは、組織パターンにおけるFirewallsである。
プログラム言語も同じだが、「それ」が必要な背景(何を解決するために存在するのか)を知ることでより深く理解することができるんだと思う。
最後に
このように素敵な「場」を作ってくれた川口さん、ありがとうございます。
参加できなかったことが本当に残念ですが、ログだけでもこれだけ得ることがあったので、僕にとってもとても有意義でした。