ブログ@kaorun55

HoloLensやKinectなどのDepthセンサーを中心に書いています。

Depthセンサーの直近の動向についての所感

ここ数日でDepthセンサーに関する新しい発表がいくつかありました。それらを踏まえつつ、向こう1,2年くらいにどうなるかと想像して書いてみようと思います。

大きな流れ

まず大きな流れとして世界の名だたる企業がDepthセンサーの活用に取り組んでいます。先週に発表があったAmazonは立ち位置が若干微妙ではありますが、立体的に顔をとらえるという点では近いかと思います。Appleについては自身はPrimeSense買収後にOpenNIの閉鎖騒動があったくらいで特に大きな動きはないですが、サードパーティー製のDepthセンサーがiOS対応を行っています。

 

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もう一つ今年はDepthセンサーがコンピューターに内蔵される、または過程により進出してきています。Leap Motionは内蔵されたPC(HP製)が日本の家電量販店でも購入できます。インテルは年内にRealSenseテクノロジーと呼ばれるセンサーおよびSDKをリリースし、PCに内蔵することを表明しています。またMicrosoftもXbox OneでリビングへのDepthセンサー浸透を進めています。ここから考えられることは、従来外付けであったDepthセンサーが内蔵されることで、ユーザー層が大きく増えること。それによって、Depthセンサーを使ったアプリケーションの需要が高まります。また、提案時などにもPCをより選択しやすくなるでしょう。

 

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センサーアプリケーションのパターン

Depthセンサーのアプリケーションのパターンとしてはいくつかあり、フロントにつける(ユーザーを向く)かリアにつける(空間を向く)かでその端末が狙っている意味合いが変わってきます。

 

フロント側について場合はユーザーに注目(ジェスチャー認識や表情、心拍など)し、リア側についている場合には空間に注目(3Dスキャンや空間認識)します。

 

Oculus Riftなどヘッドマウントディスプレイは若干特殊で、搭載するセンサーによって空間を検出(Senz3D,Structure Sensor)させたり、ユーザーを検出(Senz3D,Structure Sensor,Leap Motion)させたり用途が変わります。

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  • Intel RealSenseはフロントとリアの搭載を予定しており、RealSense SDKにはユーザー認識(ジェスチャーや表情など)と3Dスキャンやオブジェクトトラッキングの機能が予定されています。
  •  Google Tangoは現状リア側のみとなり、空間認識に力を入れているようです。
  • Structure Sensorもリア側に配置され、空間認識や3Dスキャンの機能が提供されています。
  • Kinectは基本的にはフロント側の配置となり、ユーザーの動きを認識します。

  

Intel

年内の内蔵化に向けて着々と進めているよう。PC(おそらく最初はWindowsのみ、MacはAppleがPrimeSenseを買ったこともあり、内蔵はまずないでしょう)への内蔵化はインテルしか表明されていないため、PC環境でのDepthセンサーはインテルのみになるでしょう。Leap Motionは用途が限定的なこともあります。

 

モジュールとして次の3点が提供されるとのこと。 

  • PCのフロント側に搭載するもの
  • PCのリア側に搭載するもの
  • モバイル端末のリア側に搭載するもの

Android端末への搭載も表明しており、タブレットおよびスマートフォンの環境にもそう遠くない将来に搭載されるのでしょう(CPUはARMではなくx86のものに限られるかもしれませんが)。

Leap Motion

前述のとおり、Leap MotionはHP製のPCに搭載され、他のメーカーからも搭載PCの発売が予定されています。このほかにも従来の外付け、キーボードに内蔵されたLeap Motionといくつかのバリエーションがあります。

 

Leap Motionはソフトウェアのバージョンが上がり、追従性や機能が非常に向上しました。手指に特化しているという面がメリット、デメリットどちらにも作用しますが、特定の条件であれば非常に効果を発揮するのではないでしょうか。

Apple(旧PrimeSense)

いまのところApple自体に目立った動きはありませんが、Structure SensorのOccipitalが3D Systemsと組んでiOS用のDepthセンサーを発売するようです。 

現状では唯一のiOS対応Depthセンサーになります。3D Systemsの「iSense 3D Scanner」が「Structure Sensor」のようにPCへ接続できるかはわかりませんが、Xtionに変わるマルチプラットフォームのセンサーにはなりそうです。センサーPrimeSenseを使っていますので、PC環境であればOpenNIやNiTEを利用することもできます。

 

AppleがPrimeSenseを買収しつつ、このような動きがあるということは、「iSense 3D Scanner」や「Structure Sensor」に搭載するセンサーの供給のメドがある程度たっていること、Apple自体が直近でセンサーを自社端末に搭載する可能性が低いことが考えられるでしょうか。

Microsoft

Kinect for Windows v2のリリースが間近に迫っていますが、Xbox Oneの動向も気になります。

上記記事はPR記事なので話半分でいいと思いますが、リビングへのDepthセンサーの広がりは現状Xbox Oneだけです。日本での発売が9月の予定となり、どれだけ売れるのかが未知数ではありますが、それなりに広がればプラットフォームとして活用できると考えています。

 

先日発表されたWindows,Windows Phoneのアプリケーションを共通で開発できるユニバーサルアプリにはXbox Oneも含まれています(限定されるようですが)。 

Xbox OneではカスタマイズされてWindows 8も動いているとのことで、WindowsストアアプリがほぼそのままXbox Oneでも動作する可能性があります。 

Xbox Oneで動作するアプリにKinectの性能がどこまで解放されるかは不明ですが、多くの家庭のリビングに置かれたXbox Oneへアプリが配信できるということは、アプリの提供側としては喜ばしいことではないでしょうか。

まとめ

このようにDepthセンサーが少しずつ一般層に浸透しようとしています。これまでは外付けであったため、わざわざセンサー購入して使うということはなく、どうしてもイベントなど目立つ場所での活用がほとんどでした。これからの流れを見ていくと、Depthセンサーがより生活に密着したものになる可能性も十分にあると考えます。

 

ただ、当面に環境としてはWindowsとAndroidになりそうですね。iOS端末でも内蔵されたDepthセンサーが登場すると、また世界が変わるかもしれません。

つづきます

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